割とどうでもいい趣味なのですが、OYOYOはブックカバーが好きです。正確には、ブックカバーをつけて本を読むのが好きです。それも本屋さんでオマケでついてくる紙のやつでなく、わりとしっかりした革製のやつが好きです。

いつごろからブックカバーにハマったのか、経緯をはっきりとは覚えていないのですが、きっかけとなったできごとは覚えています。中学時代、行きつけの本屋さんで『魔術師オーフェン』を買ったとき、おまけで革のブックカバーを貰ったことでした。「いつも買ってくれるから」とおじさんがカバーをくれ、私は無邪気にありがとうとうけとっていたのですが、その直後、本屋さんは潰れてしまい、一種の形見に。

さすがにこれはショック。同時に、なにかとても大切なものを頂いたという印象がついて、文庫(主にファンタジア文庫)を通学電車の中で読む際、必ずそのカバーをつけて読むようになりました。そうこうしているうちに、ブックカバーはぼろぼろになり、本屋さんへの思い出というか義理立ても薄れていったのですが、ブックカバーを使うクセだけは残りました。そんなわけでなんとなく、ブックカバーを色々集めて使うようになった、とこんなわけです。

革製ブックカバーというのは、合皮ならまだしも本革になると安いものでも2000円前後(文庫サイズ)、スタンダードなものになると5000~10000円くらいするのが相場。正直、そんなにお金を掛ける意味があるのかと言われると、微妙です。パラフィン紙でも巻いてるほうがダメージ抑えられるし趣もある。使い回しが効くとはいえ、ウン千円の金をはたいてブックカバー買う直接的なメリットなんて、使ってる私からしてもあんまり思いつきません。

じゃあ何故やってるかというと、馬鹿馬鹿しい話かもしれませんが、自分の「読書領域」を作るため、という感じです。移動中や喫茶店といった「他の人がいる場所」で本を読むことが多いのですが、私は元来気が散りやすい性質。放っておくとちっとも読書が進みません。

そこで自分縛りというか、「自分の」ブックカバーによって、自分の読書空間を無理矢理作り出そう、ということ。革製のカバーというのは使っていると色が変わってきて、自分だけのオリジナリティがでる(といわれています)。一種のジンクスとか儀式みたいなものですが、私にはこれがぴったりきたみたいで、カバーつけた本を読むと多少難解な本でも、一気に読み切ったりできます。

読書というのは結局のところモチベーションが大きくモノを言うと思うので、何らかのかたちでモチベーションをあげる自己暗示みたいな方法があれば、それが良いと思うんですよね。それが音楽の人もいれば場所の人もいるし、私にとってはブックカバーだったということだと思います。

まあそんなとりとめもない話なのですが、最後に個人的お薦めのブックカバーを紹介。まず、ブリットハウスのトスタゴートカバー。ちょっと面白い火入れ加工をしたヤギ革で、柔らかさや色合いがGOODです。ちょっとつるつるした表面が好みではないのですが、使っているうちにだいぶ手に馴染むようになってきました。値段もそれなりにお手頃。エロゲー一本分より安いです。

もうひとつは、こちら。ブッテーロのブックカバー。ベジタブルタンニンなめしだけに、ちょっと堅めなのですが、こちらは使い込むにつれて色や触感が変わってきてとても良い。革は使い込むにつれて良くなると言われますが、それは特に、タンニンのもので顕著です(クロームなめしだと劣化のほうが目立つことが多い)。そのぶん、お手入れも大変で、私は濡れ手で触って一個酷い染みをつくってしょんぼりしました。マメさには自信あるぜ! という方は、育ててみると自分だけのカバーができて、きっと楽しいと思います。

ブレイリオのラムスキンブックカバーも、デザイン凄く洗練されていて、手触りはふかふかで面白いのですが、いかんせん傷が付きやすい。家使いなら良いかも知れませんが、鞄に筆記具などと一緒にいれるには脆すぎます。光沢もすぐになくなって、最初は良かったけど長く使っているとちょっとなぁ、という感じでした。逆にこのメーカーさん、コードバン(馬革)の財布とかは滅茶苦茶良い感じですので、そっちのがお薦めです。

ただまあ、高い。中古で売り払えるわけでもないのに、うん千円のカバーを何冊ぶんも買うというのは、かなり変です。贈答品などで買うこともありますが、それを除けば基本的には1、2冊ぶんで十分でしょう。逆に言えば、1冊ぶん本気のブックカバーがあれば、ずーっと使える。そう考えると、五千円くらいならまあいいかなーとか思っちゃう人は、ブックカバーマニア予備軍です。是非大きい文具屋さんにおでかけして、現物をご覧になってください。

そんなわけで、今回は全く役に立たない、本当に単なる趣味の話。いや、これまでも役に立つ話をしていたかどうかは微妙なのですが……。

まあでも、革のブックカバーとか上手くやれば一生使えるものですし、二十とか三十とかのときに一生つきあえるアイテムをひとつ、選んで使い続けるのって何か楽しくありませんか? 別にキーケースとか財布でも良いとは思うのですが、そっちは割と消耗度も激しいですからね……。というわけで、ブックカバーの話にしてみました。

それでは、また。

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