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タイトル:『ホチキス』(戯画/2012年2月24日)
原画:marui、みことあけみ/シナリオ:原人、木場貴志
公式:http://products.web-giga.com/hotchkiss/index.html
批評空間レビュー投稿:済 → ネタバレ無
定価:8800円
評価:D(A~E)


批評空間様への感想を投稿しております。詳しい紹介・内容に興味がある方は、上記リンクから拙文をお読みください。こちらでは主に、雑感と攻略のヒント的なことを書いていこうと思います。

▼攻略
選択肢選ぶだけ。BADENDや個別のイベント回収には未対応。EDを見る為だけの攻略です。
●奈々編
奈々を手伝う
すみません、別の用事が
奈々を待つ
覗かない
大事な場所
 ※そんなに大事じゃない で解散ED
それはできません。
奈々を待つ
奈々の頼みを受ける
しずくちゃんについて奈々に聞く

●しずく編
しずくちゃんを手伝う
すみません、別の用事が
しずくちゃんに声を掛ける
覗かない
大事な場所
それはできません
奈々を待たない
奈々の頼みを断る
しずくちゃんについて奈々に聞く

●三咲編
奈々を手伝う
すみません、別の用事が
しずくちゃんに声を掛ける
覗かない
大事な場所
それはできません
奈々を待たない
奈々の頼みを断る
三咲について奈々に聞く

●ゆきの編
奈々を手伝う
いいですよ
しずくちゃんに声を掛ける
覗く
大事な場所
全然ダメじゃないです
奈々を待たない
奈々の頼みを断る
三咲について奈々に聞く
これで全員のEDを見られます。特にオススメの攻略順とかはありません。野郎EDが見たい方はAs you like it.

▼雑感
三咲EDが一番この作品らしかったでしょうか。裏メインルートは奈々でしょう。主人公の家庭事情がわかるので。

批評空間さんの感想で書いた内容の繰り返しになりますが、とにかくキャラのやっていることがおかしい、という意識がずーっと残りました。たとえばホチキスを売るための工夫ということで、「かわいいラッピングをしよう!」という提案に、皆がのる。どう考えてもありえないだろう、と思うのですが、キャラたちがそれで納得している以上はそういうものとして読むしかないわけです。

何より、互助研がどうして解散しなければならないのか、全く分からないせいでストレスがたまりました。あちらでも引用しましたが、再び。
茂 「あの、やっぱりもうどうにもならないんですか?」
かすみ 「またそれか……この前も言っただろう? 経営的に厳しくてな
茂 「どうにか互助研の売上を上げる事はできないんですか?」
かすみ 「簡単に言ってくれるな……それができたら誰も苦労はしない。そんな事ができれば、世の中倒産する会社が激減するだろうよ」
茂 「そうかもしれないですけど、このまま指をくわえて解散になるのを待つだけなんて」
かすみ 「別にずっと指をくわえてきたわけじゃないさ……今までも色々やってきた」
茂 「えっ?」
かすみ 「だが、一年前から経営的に厳しくてな。正直、ここまでもったのも奇跡みたいなものなんだ」

ご覧の通り、「経営的に厳しくてな」しか言ってくれません。どんな風に厳しいのか、まったく分からない。だから、茂たちが対策として「ホッチキスを売ればいい!」と言い出しても、なんでだかサッパリわからない、という感じで完全に置き去りにされました。試験問題集のほうが売れそうですけど……。定期的に購買層もいますし。あとは、教師の逆評定とか。

結局、何が互助研にとって本質的な問題で、それがどの程度の規模なのか分からないから、まったく話に入り込めない。そして、見ている私の方があれこれ代案を思いつく……。うぅん、という感じ。

こいつらバカだ、と断罪してもよかったのですが、彼らがそれで納得できると言うことは、茂たちにとって重要なことが何かあって、やっぱりそれにこだわっている感じはしたのでプレイを続けていました。そうすると彼らの行動よりはむしろ、言葉のほうが浮いてるということに気づきました。

言葉のほうが浮いているというのは、「互助研を潰さないため」という彼らのお題目が、実はまったく的外れということです。そもそも互助研は学校非公認。同好会未満の集団ですから、勝手に名乗っても構わない。互助研の正統性(正当ではない)を握っているのはかすみ部長ただひとりで、その彼女が納得できる形で互助研の活動を復活させればいい、というだけの話なんですよね。だから本当は、経営がどうとか、売上がどうとか関係ない。一切具体的な数字が出てこないことだって、ある意味当然なのです。でも、茂たちキャラクターはなぜかその関係ないはずのことばかりを口にするから、奇妙なねじれが発生している。

つまるところ、作品内でやりたかったであろう、言いたかったであろうことと、実際の内容が噛み合っていないわけです。設定は、互助研が潰れるという危機感に基づいて、互助研というかけがえのない場所を守る話にしたかったのでしょう。しかし、実際の内容としては互助研が潰れるということに全く説得力が無く、茂たちは単に「もっと楽しく盛り上がりたい」という感じで動いていると見た方が自然です。無理矢理「居場所がなくなる」という切迫感をもってきて強引にねじ込んでいるせいで、言動が浮いてしまう。極めつけが、ゆきのの署名活動後、かすみに行った説教でしょう。あれは本当に寒かった……。

あと、「茂犬」にまつわるエピソードなんかは、完全に後出しじゃんけんというか、伏線なんかを一切無視していきなり適当なエピソードをあとからひっつけた感じがしました。推理小説でいえば、一度も出てきたことがない殺人鬼が急にでてきて、実はこいつが犯人でした、みたいな。ちょっと残念でしたね。

作品自体は概ね丁寧につくってあって嫌いになれないのですが、オススメできるかと言われれば、かなり微妙……というかあまりオススメできません。麻耶のキャラを前面に押し出すなどしていれば、男の娘好きのファンをわしづかみにできたかもしれませんが、それも何か違うでしょうし。

ヒロインの中では、三咲が良かった。「茂たん」という呼び方へのチェンジや、ペアカップを買いに行くイベント、くまごろーとの会話など。序盤の暴力装置(汗)状態から華麗なる変貌。「あたし、バカだし、明るさと体力しか取り柄ないけど、そんなあたしを大事にしてくれる茂たんの支えになりたいんだ。だから、あたし、いつも笑顔で彼の隣にずっと居る。」という独白は、ぐっと来るものがありました。つきあうならこの娘です。間違いない。

スキップシステムなどが優れているせいで、そこまで時間がかからないのがせめてもの救いでしょうか。予約で買った方も多いと思いますので、気になる娘をまずは攻略してみて、肌に合うようだったら次の娘も……という感じで進めるのが良いかも知れません。

体験版で感じた違和感は伏線で、どこかで解消されるのかと思っていたのですが、最後までそのまま……というパターンだったので、購入を考えておられる方はまず、体験版に手を付けてみることをお薦めしておきます。そうすれば、おおよその雰囲気は分かると思いますので。

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