今日は、一部地域で話題になっている、このやりとりについて、思うところを少し。

自称大学教授の矢吹樹氏(@Yabuki_Itsuki)が「放送大学を卒業して教授になっている人」に否定的な意見を述べ、「こんな教授に教わる学生がかわいそう。」と呟いたのに対し、岡部洋一氏(@__obake)が反論を……するところまで行かずに終わったこの騒動。一切編集していないのに、綺麗な四コマ漫画になっているのが、余りにも見事。

togetterをみるのが面倒だ、という方のために、本文を抜粋しておきましょう(アイコンなどが無いとあの独特の雰囲気がでないので、出来ればtogetterでご覧になることをお薦めします)。
矢吹 樹 @Yabuki_Itsuki 返信 リツイート お気に入りに登録 · 開く
最近、無名大学だけでなく有名大学でも放送大学を卒業して教授になっている人がいるけど、これってありですか?本当の大学を卒業していないのですから、大学というもの自体を理解していないと思うのですが・・・。こんな教授に教わる学生がかわいそう

岡部洋一 @__obake 返信 リツイート お気に入りに登録 · 開く
本当の大学の定義ってなんですか?放送大学は正式の大学ですが… RT @Yabuki_Itsuki: 最近、無名大学だけでなく有名大学でも放送大学を卒業して教授になっている人がいるけど、これってありですか?本当の大学を卒業していないのですから、… #放送大学

矢吹 樹 @Yabuki_Itsuki 返信 リツイート お気に入りに登録 · 開く
@__obake それが分からないということは、貴方は放送大学出身ですか?そういう質問をすること自体が、放送大学なんですよ。違いがわからない人間が大学の教授にはなってはいけないということです。

岡部洋一 @__obake 返信 リツイート お気に入りに登録 · 開く
私は学長です。 RT @Yabuki_Itsuki: @__obake それが分からないということは、貴方は放送大学出身ですか?そういう質問をすること自体が、放送大学なんですよ。違いがわからない人間が大学の教授にはなってはいけないということです。 #放送大学
矢吹氏は何か、徒手空拳で機関銃の前に身を晒すとでも言うか、愛すべき無防備さで自ら集中砲火を浴びに行っているような節があります。そもそも岡部氏は、ご自身のプロフィール欄に次のように書いていました。
放送大学長。2011年になって、Twitterなるものを触ってみる。でもまた時間に追われそう。大学の代表ということではなく、個人の立場で勝手に呟くのでよろしく。 http://www.facebook.com/yoichi.okabe
http://www.moge.org/okabe/
ちなみに、ちゃんとWikipediaにもお名前があり出身大学は東京大学なのだとか。ちょっと相手の方のプロフィールを見て、お名前を調べれば判ることだと思うのですが……(facebookも使っているので、ご本人でない可能性は限りなく低いでしょう)。お忙しかったのか、数多くのリプライでそれどころではなかったのか。

どうもこの矢吹氏、「分からないことは人に聞く」というのが基本的なスタンスのようです。たとえば2月12日にはこんなツイートが。
矢吹 樹 @Yabuki_Itsuki 返信 リツイート お気に入りに登録 · 開く
ウィッグって中国製が多いけど、かぶったら禿げたなんてことはないんですか?以前、中国製のサンダルを履いたら、足の裏がとんでもないことになったので、心配なんですが、誰か教えて戴けませんか?
しかし、中国製のかつらをかぶったことがある方がフォロワーにおられなかったようで、返信はありませんでした。それを受けて翌日、矢吹氏はこう呟きます。
矢吹 樹 @Yabuki_Itsuki 返信 リツイート お気に入りに登録 · 開く
誰も回答してくれないということは、誰もWigをしたことがないということなのでしょうか・・・。中国製のWigって禿げたりしないんですか?誰か教えて!
さすがに、実際禿げるかどうか試してみるわけにはいかないのでしょうが、そんなに気になるなら専門のメーカーさんとかに聞いてみれば良いような……。まあそのあたりは、利害関係が絡まないフォロワーさんの生の声を聞きたい、ということかもしれないし、フォロワーさんへの信頼かもしれません。ただ、矢吹氏は中国製かつらをかぶったことがある人を募集していたはずなのに、「誰もWigをしたことがないということなのでしょうか・・・」といつの間にかウィッグ全般をつけたことがない、という話にすり替わっているのはちょっとどうかと思います。

似たような事例は2月17日にも起きており、その時は中国のアリババ(オンラインでの電子商取引会社)についてでした。
矢吹 樹 @Yabuki_Itsuki 返信 リツイート お気に入りに登録 · 開く
中国のアリババに注文したら、ちゃんと商品が届きますか?誰か教えてください。

矢吹 樹 @Yabuki_Itsuki 返信 リツイート お気に入りに登録 · 開く
誰も中国のアリババって知らないんですか?
仮にも世界に進出している大企業。商品注文してちゃんと届かない可能性の方が低いと思います。執拗なまでに中国を疑う矢吹氏ですが、何か中国に怨みでもおありなのでしょうか。

まあ、発注したイメージ写真と違う、なんてことは結構あるみたいで、「中国 アリババ トラブル」でグーグル検索すると、上から三番目くらいに、「Yahoo質問板」の記事が出てきました。これも気になるなら調べようはあったと思うのですが、あくまでもフォロワーさんからのお返事にこだわるあたり、矢吹氏のフォロワー愛には相当なものが感じられます。

ついでにつっこみますが、アリババに注文した商品がちゃんと届くかという質問に答えが無かったからといって、どうして「誰も中国のアリババって知らないんですか?」という結論になるのか良くわかりません。百歩譲っても、「誰も中国のアリババで注文したことないんですか?」くらいではないでしょうか。書き方の問題なのか本気でそう考えておられるのかは定かでありませんが、どうも矢吹氏はものごとを極端に考えすぎなのではないかという気もします。

余談ですが、矢吹氏は2月9日のツイートで、「最近の学生」を次のように批判していました。
矢吹 樹 @Yabuki_Itsuki 返信 リツイート お気に入りに登録 · 開く
最近の大学生の幼稚さに情けなくなってしまいます。僕は出欠を取らないんですが、出欠を取って出席点をくださいとか、小テストをしてくださいとか・・・。全く小学生じゃあるまいし・・・。昔は、大学と言えば、自分で勉強するところだったのに・・・。あ~、うちの学生ときたら・・・。トホホ・・・。
よくある懐古言説ですが、矢吹氏の思想がはっきりとここに表われています。どうやら矢吹氏にとって、「自分で勉強する」ことは非常に大切なことですが、「自分で調べる」ことはそんなに大事ではないようですね。

2月15日には、こんなツイートもありました。
矢吹 樹 @Yabuki_Itsuki 返信 リツイート お気に入りに登録 · 開く
僕の友達で占いをやっている奴がいますけど、1つ500円の壺を50万円で売っているって言ってた。騙すほうも悪いけど、騙されるほうも悪いよね。
詳しい事情はわかりませんが、本当なら、これはもう立派な詐欺に近く、私なら警察に通報するか少なくとも友人の縁を切るレベル。それを飄々と受け流しながら友人を続け、しかも「騙されるほうも悪い」などと言ってのけるあたり、さすが矢吹氏はただ者ではないオーラが漂っています。

しかし、冒頭とりあげたやりとりでは矢吹氏、「本当の大学を卒業していない」ような偽物の教授に教わっている、いわば騙されている学生がかわいそうだ、とお怒りだったのでした。その優しさの半分でもいいので、壺を買ってしまった人達に向けてあげることはできなかったのでしょうか。

ともあれ、傍目にも言い分は無茶苦茶。放送大学を「本当の大学ではない」と言い切って貶めておいて、その内実を問われたら、「そういう質問をすること自体が放送大学」、「違いがわからない人間」と、一切内実については答えることなく、自分の権威をふりかざそうとする態度。どう考えても悪役まっしぐらだった矢吹氏ですが、togetterのまとめについたコメントなどを見る限り、かなり好意的な反応が多いように思われました。

もちろん肯定的ではありません。しかし余りに華麗な自爆っぷりを披露したことに加え、岡部氏が怨みも憎しみも込めず、激昂することもなく、ひたすら冷静かつ簡潔にコメントをしておられることが両者のギャップを際立たせ、ある種の滑稽さを誘わずにはおられない状況になった。そして矢吹氏はいわばピエロとして受け入れられた、というべきでしょう。ここまで笑いモノにされたというのは、当人からすれば我慢ならないことかもしれませんが、罵倒と罵詈雑言が飛び交って見るも無惨な終わりを迎えるより、余程良かったように思います。ある意味でそれは「赦し」がもたらされたと言っても過言ではない。

正直、私が放送大学関係者だったり、岡部氏だったら怒り狂っていたと思います。そんな、本来ならば罵詈雑言を浴びせられてもおかしくなかった状況に、救いの手を結果として差しのべたのが論争相手の岡部氏であるというのも皮肉な話ですが、いずれにしても、冷静かつ穏やかに(内心どうだったか存じ上げませんが)、必要なことを整然と話された岡部氏は大変立派。

論争……というほどの話にも結局発展していない(これから何か進展があるかもしれませんが)のですが、まあそんな感じで、相手と話をする時には、たとえ相手がどれほど自分とあわず、無理無体に感じられたとしても、いたずらにけんか腰にならないことがやはり大切ですね。もちろんそれに甘えて、中味の無い言葉を使って好き勝手言って良いなどと言うつもりはありませんよ。

……と、三面記事のノリを無理矢理軌道修正しようとしましたが、やはり無理があったようです。一応結論以外のところでも、ネタを装いつつ大事な問題には触れたつもりですが。しかしまあ、双方なんかスゴイ人ですね。特に矢吹氏のほうは、キャラ立ちまくっていて圧倒的。お二人の今後のご活躍を遠いところから祈りつつ、記事を終えることに致します。

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