この前ベスト8に残ったときに記事を書いた錦織選手ですが(これ)、とうとう決勝に進出です。

 ▼「【速報】錦織が決勝進出の快挙 テニス、四大大会単で日本初」 (佐賀新聞)

 【ニューヨーク共同】テニスの日本男子のエース錦織圭(24)=日清食品=が6日、ニューヨークで行われた四大大会今季最終戦の全米オープン男子シングルス準決勝で、世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)を6―4、1―6、7―6、6―3、で破り、日本選手として四大大会男女シングルスで史上初めて決勝進出の快挙を成し遂げた。

 世界ランク11位の錦織は4回戦で世界6位のミロシュ・ラオニッチ(カナダ)、準々決勝で同4位のスタニスラス・ワウリンカ(スイス)を連破し、1918年の熊谷一弥以来96年ぶりの4強入りと勢いに乗っていた。(共同)

いやー、マジすごいです。グランドスラムでのシングルス決勝は、日本人初。「92年ぶり」「96年ぶり」ときて、とうとう前人未到の領域に足を踏み入れました。ここまできたら、「優勝」を成し遂げて欲しいですね。

正直言うとワウリンカに勝てると思ってなかったので、勝ったときにちょっと期待はしていました。ワウリンカも決して調子が悪いわけではなかったのに、苦手の彼を戦略的に圧倒していたので、比較的自分のペースで戦いやすいジョコビッチ(もしくはマレー)にはワウリンカ以上に戦えるのではないかと。前回の記事でも「正直ワウリンカよりはやりやすいんじゃないか」と書いている通りです。

まあしかし、今回は内容的にも圧巻でした。ここまでの錦織はどちらかというと力でねじ伏せるというよりは、クレバーな戦略・戦術を使って(たとえば序盤のセットを走らせまくるとか、スピンかえるとか)勝ってきた感じでしたが、プレイスタイルが比較的近いジョコビッチ相手にここまでのゲームができるとは。ファーストセットの6ゲーム目とか、ラリーを続けて競り合ったときに勝てたというのは本当に強いプレイヤーだなぁと思います。

第3セットの3ゲーム目をとれたのが今回の試合では大きかったですね。本当の勝負の分かれ目は、その後の7ゲーム目かなとも思いますが、精神的にノれたというか勢いがついたのは、3ゲーム目のほうだったように見えました。

同じベースライン型とはいっても、プレイスタイルとしては「何でもこなす」スマートな万能兵器ジョコビッチに対して、拾って拾って泥臭く耐えぬく錦織、という構図で、その辺私は錦織のほうが職人っぽくて好き。今回は真骨頂を発揮した感があり。

長いトーナメントを勝ち抜いてグランドスラムの8強とか4強に残るというのは確実にマグレではなく、そこまで来られた選手であればだれでも勝てるチャンスがあるのですが、ジョコビッチは世界ランク1位ですし、頭ひとつ抜けている実力者であることは間違いない。それをきっちりと受け止めてくだしたというのは、もう誰も錦織を勢いだけの選手とは言わないでしょう。今や、確実に世界有数の選手です(
ランキングも8位に。自身の持っていたアジア人プレイヤーの最高位を更新したのかな……?)。

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2014年9月7日時点の最新ATPランキング。 参考:Live ATP Rankings

それはそうと、私前の記事で「反対側の山からはフェデラーが来るだろう」みたいなことを書いたんですが、すみません。フェデラー負けました。っていうかなんで負けてんの……。

というわけで相手は、世界ランク16位→12位にあげてきた、クロアチアのマリン=シリッチ(チリッチ)。クロアチアといえば、私が大好きなイヴァニセビッチと同じ国の選手ですね。というか、現在シリッチのコーチがイヴァニセビッチです。

錦織対シリッチ、過去の対戦成績的には錦織が5勝2敗と優勢ですが、途中で書いたように、ここまで来た選手というのは誰が勝ってもおかしくない実力を持っています。というか対戦成績通りの結果になるなら錦織もシリッチも、決勝来る前に負けているはずですしね。相性による有利不利はあるにしても、楽な戦いにはならないでしょう。

加えて、前にも言いましたが私は錦織が日本人だからどうこうというよりは(多少ありますが)面白いテニスが好きなんです。グランドスラムで、ランキング10位前後だった選手2人がランキング1桁を撃破して決勝にあがってくるというのは、下克上というか新しい時代の到来を予感させてわくわくするじゃないですか。フェデラーがあがってこなかったことに落胆の声もありますが、個人的にはこれは十分見応えのある、良いカードになったと思っています。

とはいえ今回はグランドスラムを獲れるチャンスですから、錦織に肩入れしちゃいますね。是非頑張って欲しいし応援したいし、民放でやってればなぁ……。WOWWOWでもやってくれるだけありがたいんですけどね。(なお、申し込んだら直ぐ見られるWOWWOW、今回の件で加入者が激増している模様。詳しくは朝日新聞デジタルの「錦織の4強、WOWOWに追い風 加入件数「通常の倍」」を参照)

どうでも良いけど今回の試合、日刊スポーツさんでやっていた文字速報(これ)で「放送事故」ならぬ「速報事故」があったようで。

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興奮したのか慌てたのか、「ジョコビッチ」が「女ビッチ」になっていたようです。これはちょっと見たかった(笑)。残念ながら見に行ったら、今は修正されていました。

最後に、消滅対策として日刊スポーツさんの試合経過速報記録を引用しておきます(出典:「錦織勝った!日本人初決勝!/詳細」日刊スポーツドットコム)。


第1セット 錦織6-4ジョコビッチ
【第1ゲーム】 ジョコビッチのサーブでスタート。最初のポイントは錦織のサーブリターンのミス。その後も錦織のミスが続き、最後はサービスエースでジョコビッチがラブゲームでキープ。 
【第2ゲーム】 40-30から錦織のショットがアウトになりデュースに。2度目のデュースから錦織が2ポイント連取し錦織がキープ。 
【第3ゲーム】 15-30からジョコビッチがサーブを打った後、足を滑らせる場面も。30-40と錦織にブレークポイント。錦織はジョコビッチを左右に振り、最後はフォアでウイナー。錦織が先にブレークを奪った。 
【第4ゲーム】 0-30から長いラリーの後、錦織がネットにかけジョコビッチにブレークポイント。錦織のショットがアウトになりジョコビッチがラブゲームでブレークバック。 
【第5ゲーム】 15-15からサービスエースを決めるなどジョコビッチがキープ。
【第6ゲーム】 15-30から長いラリーを制した錦織。その後もポイントを連取し錦織がキープ。
【第7ゲーム】 リターンエースなどで錦織が0-30と先行。バックのストレートをエンドラインすれすれに打ち込んで、3本のブレークポイント。1本返された後、再びリターンエースで錦織がブレーク成功。 
【第8ゲーム】 40-15からサービスエースを決めた錦織がキープでリードを保つ。 
【第9ゲーム】 15-0から錦織がウイナーを2本続け、リードを奪ったが、その後はサービスエースなどでジョコビッチがポイントを連取しサーブをキープ。 
【第10ゲーム】 30-15からジョコビッチがサーブリターンをネットにかけ、錦織のセットポイント。最後も錦織のサーブをジョコビッチが返せず。錦織が決勝進出へ第1セットを奪った。 

 第2セット 錦織1-6ジョコビッチ
【第1ゲーム】 錦織がフォアのクロスをたたきこんで、最初のポイントを奪ったが、その後はジョコビッチが4ポイント連取でキープ。 
【第2ゲーム】 40-30からジョコビッチがサーブリターンをミスし錦織がキープ。 
【第3ゲーム】 40-30からジョコビッチがバックのストレートを錦織が返せず。ジョコビッチがキープ。
【第4ゲーム】 15-40とジョコビッチのブレークポイントで、錦織のフォアのストレートが外れる。ジョコビッチがブレーク。
【第5ゲーム】 幸運なネットインなどで15-30と錦織が先行したが、ジョコビッチが絶妙のドロップショットで30-30とすると、さらに2ポイントを奪ったジョコビッチがキープ。
【第6ゲーム】 15-40とジョコビッチにブレークポイントを握られた錦織だったが、サーブを決めるなど、デュースに持ち込む。ジョコビッチのミスでアドバンテージを握った錦織だが、フレームショットのミスでデュース。さらにネットにかけるミスで、3度目のブレークポイント。最後はドロップショットに反応したジョコビッチのウィナーでブレーク。錦織はサーブゲームを2連続で落とす。 
【第7ゲーム】 30-0からサービスエースを決めたジョコビッチが第2セットを取って1-1に戻した。


 第3セット 錦織7-6ジョコビッチ
【第1ゲーム】 風が強く吹き始める。最初のポイントはジョコビッチ奪われた錦織だが、その後はサーブを決めるなど4ポイント連取。大事な第3セットのスタートを錦織がキープ。 
【第2ゲーム】 ジョコビッチのアングルショットを足を使って返すなど、錦織が見せ場を作ったが、ジョコビッチがキープ。
【第3ゲーム】 15-40とジョコビッチのブレークポイントとなったが錦織がデュースに持ち込む。ダブルフォールトなどでさらに2度、ブレークポイントを握られた錦織だがしのぐ。7度のデュースを経てようやく錦織がキープ。 
【第4ゲーム】 40-30から錦織のバックハンドはわずかにサイドに外れた。ジョコビッチがキープ。
【第5ゲーム】 最初のポイントはジョコビッチも、厳しいコースを狙った錦織のショットが決まりキープ。
【第6ゲーム】 40-0からサービスエースを奪ったジョコビッチがキープ。
【第7ゲーム】 サービスエースなどで、錦織がラブゲームでキープ。
【第8ゲーム】 30-30からバックハンドでクロスのパッシングショットを決めた錦織のブレークポイント。さらにリターンエースを決めた錦織がこのセット最初のブレークを奪った!
【第9ゲーム】 錦織は15ー30からバックハンドでウィナーを奪い30-30。ここで錦織はネットにかけブレークポイントを許す。最後は錦織にダブルフォールトが出てジョコビッチがブレークバック。
【第10ゲーム】 40-30からジョコビッチにミスが出てデュースに。しかし、錦織のショットがネットにかかり、最後はサーブリターンのミスでジョコビッチがキープ。  
【第11ゲーム】 錦織が強打でジョコビッチを苦しめる。錦織がラブゲームでキープ。 
【第12ゲーム】 ジョコビッチがラブゲームでキープ。タイブレークに。 
【タイブレーク】 錦織がサーブをキープし1-0。さらにジョコビッチのサーブを2本続けてミニブレークし3-0。錦織は自らのサーブの1本目を取るも、2本目のサーブでネットにかけ4-1。ジョコビッチは1本返すもダブルフォールトで、錦織が5-2。しかし、錦織はサーブを2本とも落とし5-4。ここでジョコビッチがネットにかけ、錦織にセットポイント。最後はジョコビッチのショットがサイドに外れた。錦織第3セットを奪取、決勝へあと1セットだ!

 第4セット 錦織6-3ジョコビッチ
【第1ゲーム】 セットの間に錦織はバスルームブレーク。ジョコビッチのサーブ。錦織がリターンエースなどで0-30と先行。ジョコビッチのダブルフォールトで錦織にブレークポイント。錦織の鋭いサーブリターンをジョコビッチはネットに引っかけた。錦織が勝利へ向けて、最初のゲームからブレークを奪う。
【第2ゲーム】 0-40と錦織はブレークポイントを握られたが、3本返しデュースに。フォアの逆クロスを決め錦織がアドバンテージ。最後はジョコビッチのショットが大きくアウト。錦織がブレークの危機をしのぎキープ。
【第3ゲーム】 30-15から錦織のパッシングショットが決まる。しかし、そこからジョコビッチがポイントを連取しキープ。
【第4ゲーム】 40-30からのジョコビッチのサーブリターンがアウトになり錦織がキープ。リードを保つ。
【第5ゲーム】 30-0からジョコビッチが2本連続サービスエース。ジョコビッチがキープ。
【第6ゲーム】 錦織は30-30からフォアのストレートを決め、40-30。最後はジョコビッチのショットがサイドに外れ、錦織が1ブレーク差を守るサーブキープ。
【第7ゲーム】 40-15から錦織のサーブリターンがネットに。ジョコビッチがキープ。 
【第8ゲーム】 錦織は30-0から195キロのサービスエース。40-0からさらにサービスエースで錦織がキープ。さぁ勝利へあと1ゲームだ! 
【第9ゲーム】 15-30と錦織がポイント先行。さらにリターンエースで錦織マッチポイント。ジョコビッチが1本返して30-40。最後はジョコビッチのショットがエンドラインを越えアウトに。錦織勝った!決勝進出だ!錦織は両腕を大きく広げて喜びを爆発させた。