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ブランド: インターハート
定価: ¥8,800 (税込¥9,504)
発売日: 2014/08/29
ジャンル: 催眠ADV
原画: りゅうき夕海
シナリオ: 明智幸定
OHP: 催眠パラノイア!

▼批評空間投稿レビュー(42点): 「催眠パラノイア!」の感想

 《ブログ用評価 S~D》 (S=非常に良い A=良い B=普通 C=やや難あり D=む~り~)
絵: A (表情、肉感、差分含めて素晴らしい。ただし、背景はネタとしてもダメ)
話: D (何がやりたかったのかも、誰にヌいてほしかったのかも分からん)
演: B (テーマソングが良い。他は可もなく不可もなし)
H: B (単発のシーンで見ると光るものも多い。初回特典の漫画はエロかった)
他: D (特に作品コンセプトとEDの扱いで大いに不満が残る)
総合: C (せめて、痴漢がやりたいのか催眠がやりたいのかだけでもハッキリさせるべきだった

【攻略】
1本道。どのキャラから進めてもEDは1つで、CG・回想とも100%になります。

ストーリー (げっちゅ屋 さんより)

主人公・前田ひろしはサラリーマンとして働きながら、痴漢師として腕を磨いている。
日々の痴漢は青春であり、ライフワークだ。
ある日、電車内で痴女行為を目撃してしまった。
服装を見る限り、そいつはグリーンアテンダントのようだ。
その女は相手に何やら暗示のようなものをかけ、いとも簡単に操り、思いのままに辱め感じさせていた。
信じがたいが “催眠術” というものか。
いったい何故グリーンアテンダントが痴女行為をやっていたのか分からないが、ただ一つ言えるのは、あの女の “催眠術” が使えるということだ。
あの力が欲しいと思った。
それがあれば痴漢師としてさらなる領域へ行けるはず……!
思わず口が緩む。 まずはあのグリーンアテンダントに接触しよう。
こうして、前田ひろしの痴漢ライフに変化が訪れるのだった――。



実に何ヶ月ぶりかの感想投稿しました。キスアト以来かな? ただうーん、肝心のネタのほうが。

ハッキリ言って、高額なCG集……あるいは余計なものがついておらず好きに妄想できるぶんそのほうがマシだった、というポジションになってしまうでしょうか。まあOHP見た時点で嫌な予感はしていたんですよね。だって、タイトル間違ってんだもん

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OHPの「system」欄。作品のタイトルが「パラノイヤ」になっている。

初期段階は「パラノイヤ」だったのをあとで変更したのに更新を忘れていたのか、開発にあまり関わっていない広報の人に丸投げしたのか……どういう事情なのかはいまいちわかりませんが、この辺の混乱ぶりがすべてを物語っているようにも思える作品でした。

というのは、本作はコンセプトが一貫していないように思えるからです。

そもそも「催眠」と「痴漢」のどちらがやりたいのかがよくわかりません。主人公である前田ひろしは痴漢魔だけど催眠術師ではない。そして、催眠に頼った痴漢を展開していくことになります。

物語の形式としては、「打ち出の小槌を手に入れて調子に乗って破滅する人」みたいなモチーフなのだ、というのは分からないでもないんですが、それがやりたいなら見せ方はもっと別(たとえばひろしは、痴漢をやりたいけど実際にはやれずにくすぶっているだけのニートにするとか)のやり方があったと思います。少なくとも爽快な痴漢ゲーを想像させる必要はないし、催眠ゲーとしても痴漢以上の「凄いこと」ができるはずなのになかなかそっちにいかないからストレスが溜まる。どっちつかずになった感じがします。

こういう「何がやりたかったの?」というのは他にもあり、たとえば下の画像。

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OHPに掲載されている作品の紹介。

「ハーレムエンド」や「サソリを攻略するルート」がある、と書かれています。

この書き方から想像するに、おそらく当初の予定ではマルチエンディングだったのではないかと思うのですが(少なくともユーザーにはそれを期待させる)、【攻略】のところに書いた通り、本作は1本道。公約を守った……というわけではないのでしょうが、前半と後半の間に1度サソリシナリオが挟まれ、後半の全ヒロインのHを見ると、サソリシナリオの後半が展開されます。そして、その後思い出したように「ハーレム」になるのですが……。

このハーレムとやらが、普通の人が想定するハーレムとはおそらく全く違います。10人いたら9.5人くらいまでは、これをBADエンドと呼ぶのではないかと思います。想像するに、もともと予定されていた「サソリED」を強引にケツにひっつけたせいでこんなことになったんじゃないかと邪推します。

結局、作り手が何か作りたいこだわりが見えるかというとそれもなく、かといってあるジャンル・属性に関してユーザーの好みをきちんとリサーチしてニーズにあわせたものを出せたかというとそういうわけでもない。そのうえ、夏希や十和子、くるみのルートが妙に中途半端だったり、いろいろと企画当初の予定から狂ったんじゃないかなーと思わせる、きわめて残念な作品になっています。その辺の話は批評空間さんのレビューに書いたので、もっと詳しいことが気になる方はご覧ください。(正直、「あんまりいい作品ではないと思う」ということを延々書いているだけなので、読む意味があるかは微妙ですが)

せめてもの救いは、りゅうき夕海先生の絵が非常に素晴らしく、また各ヒロインに幾つかはグッと来るシーンがあったこと。しかしりゅうき夕海先生は、私が珍しく30点台つけた『性狂育』(昔書いたレビュー)といい、絵は好みなのにストーリーとかの部分で地雷踏み抜く率がやたら高いのが気になります。何だろうこれ。相性がよくないのでしょうか。

いつか、りゅうき夕海先生原画で目の覚めるような抜きゲーと出会う日を夢見ながら筆を置くことにいたします。