革ってどのくらい色変わるんですか? という質問をうけたので……。

Google先生に「革 経年変化」あるいは「革 エイジング」とかでたずねると一発という気もするのですが、 画像だとこのくらいのが出てきますね。

 ▼「革 経年変化」(Google検索画像) 

やはり、ヌメ革の色変化見本が非常に多いように見えます。あ、ヌメ革というのはいわゆるすっぴんの革のままで色付けしていないやつ。ときどき「ベージュ」とかって書いてあったりしますが……。より厳密には、「植物タンニンなめしを施しただけの、染色・塗装がされていない革」を言うようですが、染色されたものであっても植物タンニンなめしで加工された革全般をヌメ革という場合もあります。土屋鞄さんなんかは後者の意味で使っています。

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ハナブサレザーさんのサンプルから。一番上のような素の革が典型的なヌメ革です。

いわゆる「飴色」になるというやつで、このような変化を嫌う人もいれば好きな人もいます。変化が嫌な人は防水スプレーとかで水・紫外線をシャットアウトして、なるべく経年変化が起こらないように処理しているようです。その辺は人それぞれでしょう。なんか革系のサイトを見ると、エイジング万歳、エジングがわからん奴は革の醍醐味がわかっていない素人、みたいな雰囲気が漂っていますが、必ずしもそれが全てではないと思います。もっとも、変化しないのが良いのなら、革より別の素材のが向いてる気がしますが……。

ちなみに、これは化学変化の結果なので、色がついているものでももちろん変化します。ちなみに下は私が使っている財布と名刺入れですが、これ、もともと同じ色です。向かって左側のオレンジっぽいのがもとの色。3年ほど使ってたら右のような色になりました。これはぶっちゃけ水に濡らしたりなんだかんだでエイジングうまくいってない感じはあるんですけど、とりあえず色は変化しますよということで。
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上は日本の染めなんですが、イタリアで染められた革はものすごい鮮やかな色からドラスティックに変化するのでびっくりします。黄色が半年ほどでこげ茶色になったり。革のエイジングのことは、下のサイトに詳しいのでご関心あれば。

 ▼「知っておきたいヌメ革の基礎知識

ただ、どんな革でも色が変わるかというとそんなこともありません。この辺、私もよく分からなくて昔混乱したので、ちょっと分かりやすく書いてみたいと思います。

まず、合皮。何度も言いますがこれは色が変化しません。塗装がハゲて劣化はしますが。 

次に、黒系のもの。基本的に黒はそれ以上濃くなったりしないので、あんまり色の変化を楽しむという感じではありません。ネイビーのものは多少濃くなったりするけど、せいぜいそのくらいでしょうか。ただ、ツヤが出るということはあるので、まったく変化がないわけではありません。

そして、顔料染めの革。この辺ややこしいんですが、革の染色には染料染めのものと顔料染めのものがあるそうです。顔料染めというのは、革のうえから色を塗ったもの。染料染めというのは、革の繊維に色を染み込ませたもの、くらいで良いんでしょうか。ともあれ、顔料染めの革というのは経年変化しません。

いや、しているけれど表面を覆っている色が隠してしまうようです。そのかわり、革の表面をコーティングするため、水濡れなどに強く、傷も隠せるので綺麗に見えます。前にも書いたけれど、日本では傷の少ない、綺麗な革が好まれる傾向があるせいか、顔料染めのものが人気のようです。よく、鞄や靴の修理で色の塗り直しとかをやっていますが、あれができるのは顔料染めのものですね。

あと、色の変化の具合は、革の種類や染めている場所、使っている環境(日光にあたっているかとか、どのくらい水濡れしたかとか、汗がしみこんだかとか、布と擦れているかとか)によっても変わってくるので一概には言いづらいというのが正直なところです。

とりあえずの目安で良いなら、お持ちの革製品が染料仕上げのものか顔料仕上げのものかを確認したあと、染料仕上げのものなら、似たような色の経年変化画像をGoogleで探してみると良いのではないでしょうか。

……という感じでお答えになったでしょうか。