丑の日だ何だでのうなぎ騒ぎも一段落といったところですが、しばらくの間、気軽にうなぎを食べるのは難しくなるかもしれない、という話。

 ▼「中国が欧州ウナギ再輸出中止へ 来年2月以降、品薄に」(47News) 
 減少が著しいニホンウナギの代替品として中国経由で大量に輸入されているヨーロッパウナギについて、中国政府当局が2015年2月以降は輸出を認めないとの意向を日本国内の業界関係者に伝えていることが28日、分かった。

 ヨーロッパウナギはニホンウナギに比べて安価で、人気が高い。ウナギの市場供給量が来年以降はさらに減り、安いウナギは遠くなりそうだ。

 ヨーロッパウナギは10年末以降、欧州連合(EU)が輸出を禁止している。

 中国には、EUの輸出禁止前にフランスから稚魚のシラスウナギが大量に輸出され、これを養殖したウナギが「合法的な製品」として日本に再輸出されている。

中国からの輸入がなくなるとなれば、うなぎの高騰はさけられないでしょう。記事にもあるとおり、ヨーロッパウナギはEUでも輸出禁止となっていますし、別ルートが簡単にできる……ということもなさそう。

稚魚の激減とともに絶滅すら危惧されていたのでこれは仕方ない流れなんでしょうか。私たちのメニューからもうなぎはがくっと減りそうです。少なくとも、ファストフード店で簡単に出てくるメニューではなくなるのではないかとも思われます。そうなってしまうと寂しいですね。

ただ、ピンチはチャンスではないけれど、現在のうなぎ消費量の半分をまかなっている中国からの輸入(参考資料:「鰻輸入量及び国内生産量」)が途絶えるわけで、一気に需要過多になることは間違いありません。そうなると、三重の水産総合研究センターで達成された、完全養殖に注目が集まります。

 ▼「affラボ 世界初「ウナギの完全養殖」に成功」 (農林水産省)

これまでは、価格の問題でなかなか完全養殖うなぎは売れないだろうといわれていたし、そうなるとなかなか「やる意義」も見出されなかったわけですが、うなぎが足りないとなると多少高くても買う、という人は出てくるでしょうしビジネスチャンスが生まれるはず。

これを機に、うなぎ養殖の態勢がじわじわと整っていく可能性は少なくないと思います。そうなってくれることを祈りつつ、完全養殖のうなぎが気軽に味わえる日が来るのを、楽しみに待ちたいですね。