※今回は超 永井 長い記事です。
ウィング杯が終了しました。監督の皆さん、お疲れさまでした。簡単に、今回のランクマを振り返っておきます。
◆不満は減ったように見えるけれど……?
Twitterなどを眺めている限り、前回の「第七回プリンセス杯」(2018年2月)のときに噴出していたような過激な意見は、それなりに沈静化している感じがします。実際、蒼風さん(@soufu89)が実施しておられるTwitter匿名ユーザーアンケートでは、前回の結果が「どちらかといえば楽しくなかった」と「楽しくなかった」で54%を占めていたのに対し、今回の「ウィング杯」では終了直後の3月26日朝5時の時点で、「どちらかといえば楽しい」、「楽しい」が58%となっています。(下参照)
ウィング杯の投票はまだ途中なのでこのパーセンテージが動く可能性はありますが、純粋に人数だけ見ても、プリンセス杯の「楽しかった」は154票中の27%なので41名か42名であるのに対し、ウィング杯の「楽しい」は105票中の46%ですから48名。途中経過の時点で既に、「楽しい」と感じている人数が前回を上回っていることがわかります。
また、ランクマの参加者も1500人を超えました。初日が1000人未満だった割には中盤以降がっつり伸びた感じですね。
つまり、私の確認できている範囲では、感覚的にもデータ的にも比較的不満が少なくなっています。
やっぱり前回(第7回姫杯)の「青天井」仕様が労力的にも時間的にもかなりの負荷をユーザーに強いるものだったのだろうなぁと思う一方、不満が減ったことをもって今回のランクマが成功だったかというと、そうとも言い切れない感はあります。今回不満があまり出ていないことにはいくつか原因が考えられるのですが、ランクマに満足したから、という積極的なものばかりではないと思われるからです。
不満がでない原因としてはたとえば、今回がはじめてのイベント形式だったのでみんな目新しさで面白いと感じる。また、1位が大量発生したことで1位を獲った人はそれなりに満足するし、知人友人が1位になって喜んでいるのを見た人は批判しづらいという雰囲気ができている。そんなようなことが考えられるかもしれません。
まあ要するに、相対的に不満は減ったけれど絶対的な満足度が高くなっているわけではないのではないかということです。たとえるなら、貯水率が-60%から-30%になって、相対的には満足度が上がったように見えてはいるけれど、落ち着いて考えるとやっぱり水は足りてないんじゃない? みたいな感じ。
◆ウィング杯の特徴の確認と評価
総評的な話をするまえに、「ウィング杯」の特徴を、第7回プリンセス杯との比較をからめて確認しておきます。
まず、ぱっと見で目立つのが「1位」の数の多さ。下のツイートの通り、終了まで10時間以上残した3月25日の15時時点で「1位」が70人オーバー。プラチナトロフィー(1~3位)がこれほど量産されたランクマッチは間違いなく初めてです。
また、ランクマッチへの参加方法がかなり変更されたことも重要です。これまでは、「デレスト」を周回することで参加チケットを集めていく形式だったのが、今回は「デレスト」からの配布が停止。「おこづかい」による交換なども激減し、じゅうぶんな参加をするためには、「ナインスター」の消費が必要となりました。(ナインスター自体は無課金のものでも構わなかったので、「ランクマ参加に課金が必要になった」という表現は、厳密には異なると思います。ただ、心情的にはそういう印象になるのはやむを得ないかなという気もします)
こうしたことを踏まえて、今回のランクマの大きな特徴は以下の4つくらいにまとめられるでしょうか。もちろん他にもこまごました変更点、特徴はあるのですが、大きなところではこのくらいかなと思っています。
① ランキングポイントに事実上の上限(1008000点)が設定された
② 1日の対戦上限数(15戦)が設定された
③ 参加チケットの配布方法が変更され、参加ハードルが上がった
④ 報酬ラインが変更され、累計ポイントでは報酬キャラを完凸できなくなった
順番に詳細を見ておくと、まず①は、ポイントの計算方法の変化や対戦ボーナスが60%で頭打ちになったことなどが主な原因です。結果としては、ランキング上位層の極端な平均化がすすみました。もう少し具体的に言うと、「コールドボーナス」、「ホームランボーナス」や「失点のポイントマイナス」などがなくなったことで試合過程・スコアが問われなくなりました。とにかくどんな内容でも勝てばいいだけになったため、選手をどれほど鍛えているかとか、打順・発動スキルの内容の重要度が減っているわけです。また、多くの監督が比較的達成可能なスコア上限だったため、「1位」が大量発生しました。具体的には100人ほど。これは、事実上上位報酬獲得者枠の大幅拡大であるという見かたもできます。要するに、一定以上の戦力を持っていれば、みんなが最上位の栄誉に与れるランクマッチだったということです。そのぶん、最上位でしのぎを削る意味はまったくなくなりました。賛否の分かれるところでしょう。
次に②は、ランクマッチにおける過度な試行を抑制する施策だと言えます。これにより、1日中ハチナイにへばりつく必要性がなくなった点を私は高く評価していますが、別の見かたをすれば片手間にやっているライトユーザーとハチナイに全力を傾けているヘビーユーザーの差別化がしにくいのだとも言えます。また、15回というそれほど多くはない回数制限のために、試行の内容が収束せず、結果に「運」要素が多く加わったり、累計スコア報酬を達成できない人が出た、という点には注意が必要かもしれません。
続いて③です。既に上でも述べた通り、これはランクマ参加に「課金」を要求されたわけではありません。しかし、これまでのようにとりあえずデレストを回せばよかったスタイルに比べて、格段に参加しづらくなったのは事実です。参加はできるけれど課金しなければあまり勝てない……というのならまだしも、せっかくのイベントなのにかなり頑張らなければろくすっぽ参加すらできない、というのは正直まったく無意味な気がしています。
最後に④ですが、これはまあ、適当な塩梅ではないでしょうか。とりあえず累計報酬だけでイベントキャラ2人を2凸、3凸にはできる。戦力にこだわらない人には無凸でじゅうぶんだろうし、戦力にこだわりたいという人ならば累計報酬はそんなに無理なくこなせるレベルです。「はじめたばかりの初心者」には厳しいかもしれませんが、それは累計報酬をがっつり積めば5凸できた頃でも同じ(初心者には積みきれないスコアだった)ですし、対人競争で初心者がそんなに恩恵ばかり受けるというのもどうかという気はします。実際問題、今回の仕様変更で「報酬キャラが5凸できるか否か」を問題の俎上にあげている人はそれほどいないように見ています。
簡単に私の意見をまとめると、①は賛否を決めかねる。②は積極的に評価。③は愚策だと思う。④は妥当、という感じです。
◆ウィング杯に対する総合的な所感
以上を踏まえて、今回のウィング杯に対する感想を。
【1】ユーザー間競争の意味がない
ランクマッチは本来、相対的な競争のはずです。自分がミスっても相手が失敗すれば上にたてるし、逆も同じ。そこに競争の意味があります。にもかかわらず、今回はかなり低いラインでスコアの上限設定をして上位争いをなくしたため、競争の意味がなくなりました。一定の記録(しかもそこそこ頑張れば多くの人が達成できるような)をクリアすれば全員が金メダル、というオリンピック競技があったとして、それが盛り上がる競技になるでしょうか?
見渡す限り1位。1位ラッシュ。意味あるのかこれ。
ぶっちゃけ、それなら最初からランクマッチ(競争)にせず、一定スコアで報酬が手に入るソロイベントでも良いじゃないかという気がします。上位がたくさん出たことが問題というより、それなら競争させる意味がないだろう、と考える次第です。
【2】ランクマに参加しづらくなったのはいただけない
繰り返しになりますが、ランクマに参加するハードルが今回は上がっています。毎日配布されるチケットと、1日のフリー参加券3枚で合計4回は確実に参加できますが、それ以上は、おこづかいにせよメダルにせよナインスターにせよ、ぽんっと出すには躊躇うくらいの消耗を強いられました。これは、イベントを開催しているにもかかわらずイベント参加を促しづらいという意味で、あまりスジのよくない仕様だったと思っています。
もちろん、課金を促して利益を上げたいという思惑があったというのなら仕方がない部分もあるのですが、それなら、最もボーナスの高くつくイベント特攻キャラが排出されるガチャにはランクマ参加券がつかないのがいただけません。コストに対する見返りが少なすぎて、逆に課金を抑制する要素になっていたからです。どうせ1日15回までなら、最大7.5%のボーナスがつくキャラを排出するガチャにこそチケットをつけて、「1日20連までなら良いか」という気持ちにさせれば効果的だったと思います。その辺りも、利益を狙うにしてはちぐはぐな印象でした。
【3】何がやりたかったのかがわからない
正直、今回の「ウィング杯」に対して私が抱くモヤモヤ感はこれに尽きます。さまざまな仕様変更をして実施された今回のランクマッチ、何がしたかったの? と。
ユーザーの競争を盛り上げたかったなら上限頭打ちなのは意味がないし、ハードルを下げて多くのユーザーを参加させたかったなら参加ハードルを上げた意味がわからない。青天井を廃止してランクマに参加するユーザーの負担を軽減することには成功しているかもしれませんが、肝心なのは、ユーザーがランクマッチの何を楽しめばいいかということのはずです。
たとえば『グラブル』の団イベは、各ユーザーがそれまでに鍛えた武器やキャラを「お披露目」する場であると同時に、同じ団の所属者で協力しあう楽しみがあります。『モバマス』の場合はイベントがたくさんあるのでなんとも言えませんが、イベントでしか手に入らない大きな報酬を得られるという実利と、対戦相手との駆け引きみたいなものが面白さ・魅力なのかなと思います(もちろん競争が過度になって地獄のような争いになるのと引き換えですが)。
いっぽうハチナイのランクマは、鍛えたレギュラーキャラよりも特攻がついた一時的なキャラでないとランクマに出す意味がなく、駆け引き要素も少なく、仲間との協力も(ゲーム内では)存在しない。報酬も、それほど魅力的とは言えない。ことばは悪いけれど「とにかく対人やれば楽しいんじゃないか」みたいな空気が漂っているように、私には感じられます。先の蒼風さんのおことばをお借りすれば、「「これが面白いんだ」とか「こういうものがやりたい」みたいな意識」が見えてこない。あるのかもしれないけれど、ランクマを通して伝わってこない。そういう設計しか出来ていないのではないかと思います。
私が常々思っていたのは、「ハチナイに過度な競争は似合わない」ということでした。たとえばランクマの上位10人に限定SSRキャラを配布して課金競争をさせるとか、そういうことをして格差を広げるとユーザーはどんどん離れていくだろうし、そのユーザー絶対数の減少は致命的な問題になるだろう、と。だから、できれば格差を減らし、ユーザーの負担をかけないように工夫しつつ楽しめるコンテンツを増やすべきではないか、と。まあ言うなれば、競争原理バリバリの資本主義よりは緩やかな社会主義的な仕様のほうが良いんじゃないかということです。
ですから、ランクマは別に無くても良いのです。むしろ無いほうが平和かもしれんとさえ思います。ただ、運営さんたちがランクマで達成したいことがあるのなら、それに乗るのはやぶさかでない。よしや、それが「運営継続の資金集め」だとしても。そして、やるからにはある程度継続してほしいし楽しめるものであってほしい。
非課金型チケット配布や特攻キャラの調整、青天井廃止を提案していたのは、新規とベテラン、多忙な社会人と時間に余裕ある人、石油王と一般人などの格差を広げすぎないようにしたほうが良いんじゃないかという思惑からでした。何にしても「いまのハチナイに適したバランス」を考えてイベントを運営してほしい、というのが各種発言の意図です。ランクマ初期から現在まで、そのスタンスは変わっていません。…………いないつもりです。
今回のランクマで強く感じたのは、ランクマを通して達成したいことが何なのか良くわからないということと、ランクマを楽しめるものとして維持していくバランスがうまくないのではないかという2つのことです。それらは、運営さんにきちんとあるのかもしれませんが、少なくともここ数度のランクマを通して私にはわかりませんでした。
ひとことで言えば、「迷走」なんでしょうか。早いうちに立て直してほしいなと思います。
【4】ユーザー企画イベントは偉大
そんな中、今回もTwitterユーザーさんたちが自発的にランクマを利用してイベントを企画していました。ユーザー同士でチームを組んで戦うというスタイルは、それこそ『グラブル』の団や『モバマス』のプロダクションのような感じでユーザー同士の横のつながりを作り、イベントに彩りを添えています。
私は参加していませんが、こうした工夫によってランクマッチが(参加者にとって)面白いものとなっているのは事実でしょうし、「自分たちでランクマの意味を創り出す」運動なのだろうと。私のようにぶつぶつ文句だけ言っているより、よほど建設的で立派な活動ですよね。
……というわけで、長かった今回の記事は終わりです。結局、ランクマは何のためのイベントなのか、ということに時間がかかってもアンサーが欲しいというのがいまの心境です。それがハッキリしてくれば、無限デレストだろうが青天井だろうが付き合おうか考える余地はあるのですが、漠然と対人をやるというだけなら、時間と労力を吸い取られる行為には付き合えない。今回のような、回数制限がついたもののほうがマシだと思っています。
私が理解できていないだけでちゃんとランクマの目的や魅力は明確になっているのかもしれませんから、アカツキさんにはちゃんとお問い合わせなり意見メールなりを送りたいんですが、やっぱりきちんとまとまったものを書きたいので、思考の整理がてらの記事となりました。お付き合いいただいた方、ありがとうございました。
ウィング杯が終了しました。監督の皆さん、お疲れさまでした。簡単に、今回のランクマを振り返っておきます。
◆不満は減ったように見えるけれど……?
Twitterなどを眺めている限り、前回の「第七回プリンセス杯」(2018年2月)のときに噴出していたような過激な意見は、それなりに沈静化している感じがします。実際、蒼風さん(@soufu89)が実施しておられるTwitter匿名ユーザーアンケートでは、前回の結果が「どちらかといえば楽しくなかった」と「楽しくなかった」で54%を占めていたのに対し、今回の「ウィング杯」では終了直後の3月26日朝5時の時点で、「どちらかといえば楽しい」、「楽しい」が58%となっています。(下参照)
【投票期間一週間】もうすぐ終わるランクマ(熱闘!プリンセス杯第7回)は #ハチナイ #八月のシンデレラナイン
— 蒼風🍈【フィリア学院】@ハチナイ (@soufu89) 2018年2月27日
【投票期間一週間】現在開催されているランクマ(ウィング杯)は #ハチナイ #八月のシンデレラナイン
— 蒼風🍈【フィリア学院】@ハチナイ (@soufu89) 2018年3月23日
ウィング杯の投票はまだ途中なのでこのパーセンテージが動く可能性はありますが、純粋に人数だけ見ても、プリンセス杯の「楽しかった」は154票中の27%なので41名か42名であるのに対し、ウィング杯の「楽しい」は105票中の46%ですから48名。途中経過の時点で既に、「楽しい」と感じている人数が前回を上回っていることがわかります。
また、ランクマの参加者も1500人を超えました。初日が1000人未満だった割には中盤以降がっつり伸びた感じですね。
総参加者は無事15000人を超えた模様です。
— たきこ@ハチナイ (@takiko_hachinai) 2018年3月25日
最後に超えたのは月ランクマか風ランクマの時だったはず。
やはり試合画面改修の効果でしょうか pic.twitter.com/13YQh8rGyv
つまり、私の確認できている範囲では、感覚的にもデータ的にも比較的不満が少なくなっています。
やっぱり前回(第7回姫杯)の「青天井」仕様が労力的にも時間的にもかなりの負荷をユーザーに強いるものだったのだろうなぁと思う一方、不満が減ったことをもって今回のランクマが成功だったかというと、そうとも言い切れない感はあります。今回不満があまり出ていないことにはいくつか原因が考えられるのですが、ランクマに満足したから、という積極的なものばかりではないと思われるからです。
不満がでない原因としてはたとえば、今回がはじめてのイベント形式だったのでみんな目新しさで面白いと感じる。また、1位が大量発生したことで1位を獲った人はそれなりに満足するし、知人友人が1位になって喜んでいるのを見た人は批判しづらいという雰囲気ができている。そんなようなことが考えられるかもしれません。
まあ要するに、相対的に不満は減ったけれど絶対的な満足度が高くなっているわけではないのではないかということです。たとえるなら、貯水率が-60%から-30%になって、相対的には満足度が上がったように見えてはいるけれど、落ち着いて考えるとやっぱり水は足りてないんじゃない? みたいな感じ。
◆ウィング杯の特徴の確認と評価
総評的な話をするまえに、「ウィング杯」の特徴を、第7回プリンセス杯との比較をからめて確認しておきます。
まず、ぱっと見で目立つのが「1位」の数の多さ。下のツイートの通り、終了まで10時間以上残した3月25日の15時時点で「1位」が70人オーバー。プラチナトロフィー(1~3位)がこれほど量産されたランクマッチは間違いなく初めてです。
ちなみに1位は既に72名いた模様 pic.twitter.com/FEuYkVdyoW
— ㌧㌧@頭ハチナイ (@41Lm2AK8daNvUBV) 2018年3月25日
また、ランクマッチへの参加方法がかなり変更されたことも重要です。これまでは、「デレスト」を周回することで参加チケットを集めていく形式だったのが、今回は「デレスト」からの配布が停止。「おこづかい」による交換なども激減し、じゅうぶんな参加をするためには、「ナインスター」の消費が必要となりました。(ナインスター自体は無課金のものでも構わなかったので、「ランクマ参加に課金が必要になった」という表現は、厳密には異なると思います。ただ、心情的にはそういう印象になるのはやむを得ないかなという気もします)
こうしたことを踏まえて、今回のランクマの大きな特徴は以下の4つくらいにまとめられるでしょうか。もちろん他にもこまごました変更点、特徴はあるのですが、大きなところではこのくらいかなと思っています。
① ランキングポイントに事実上の上限(1008000点)が設定された
② 1日の対戦上限数(15戦)が設定された
③ 参加チケットの配布方法が変更され、参加ハードルが上がった
④ 報酬ラインが変更され、累計ポイントでは報酬キャラを完凸できなくなった
順番に詳細を見ておくと、まず①は、ポイントの計算方法の変化や対戦ボーナスが60%で頭打ちになったことなどが主な原因です。結果としては、ランキング上位層の極端な平均化がすすみました。もう少し具体的に言うと、「コールドボーナス」、「ホームランボーナス」や「失点のポイントマイナス」などがなくなったことで試合過程・スコアが問われなくなりました。とにかくどんな内容でも勝てばいいだけになったため、選手をどれほど鍛えているかとか、打順・発動スキルの内容の重要度が減っているわけです。また、多くの監督が比較的達成可能なスコア上限だったため、「1位」が大量発生しました。具体的には100人ほど。これは、事実上上位報酬獲得者枠の大幅拡大であるという見かたもできます。要するに、一定以上の戦力を持っていれば、みんなが最上位の栄誉に与れるランクマッチだったということです。そのぶん、最上位でしのぎを削る意味はまったくなくなりました。賛否の分かれるところでしょう。
次に②は、ランクマッチにおける過度な試行を抑制する施策だと言えます。これにより、1日中ハチナイにへばりつく必要性がなくなった点を私は高く評価していますが、別の見かたをすれば片手間にやっているライトユーザーとハチナイに全力を傾けているヘビーユーザーの差別化がしにくいのだとも言えます。また、15回というそれほど多くはない回数制限のために、試行の内容が収束せず、結果に「運」要素が多く加わったり、累計スコア報酬を達成できない人が出た、という点には注意が必要かもしれません。
続いて③です。既に上でも述べた通り、これはランクマ参加に「課金」を要求されたわけではありません。しかし、これまでのようにとりあえずデレストを回せばよかったスタイルに比べて、格段に参加しづらくなったのは事実です。参加はできるけれど課金しなければあまり勝てない……というのならまだしも、せっかくのイベントなのにかなり頑張らなければろくすっぽ参加すらできない、というのは正直まったく無意味な気がしています。
最後に④ですが、これはまあ、適当な塩梅ではないでしょうか。とりあえず累計報酬だけでイベントキャラ2人を2凸、3凸にはできる。戦力にこだわらない人には無凸でじゅうぶんだろうし、戦力にこだわりたいという人ならば累計報酬はそんなに無理なくこなせるレベルです。「はじめたばかりの初心者」には厳しいかもしれませんが、それは累計報酬をがっつり積めば5凸できた頃でも同じ(初心者には積みきれないスコアだった)ですし、対人競争で初心者がそんなに恩恵ばかり受けるというのもどうかという気はします。実際問題、今回の仕様変更で「報酬キャラが5凸できるか否か」を問題の俎上にあげている人はそれほどいないように見ています。
簡単に私の意見をまとめると、①は賛否を決めかねる。②は積極的に評価。③は愚策だと思う。④は妥当、という感じです。
◆ウィング杯に対する総合的な所感
以上を踏まえて、今回のウィング杯に対する感想を。
【1】ユーザー間競争の意味がない
ランクマッチは本来、相対的な競争のはずです。自分がミスっても相手が失敗すれば上にたてるし、逆も同じ。そこに競争の意味があります。にもかかわらず、今回はかなり低いラインでスコアの上限設定をして上位争いをなくしたため、競争の意味がなくなりました。一定の記録(しかもそこそこ頑張れば多くの人が達成できるような)をクリアすれば全員が金メダル、というオリンピック競技があったとして、それが盛り上がる競技になるでしょうか?
見渡す限り1位。1位ラッシュ。意味あるのかこれ。
ぶっちゃけ、それなら最初からランクマッチ(競争)にせず、一定スコアで報酬が手に入るソロイベントでも良いじゃないかという気がします。上位がたくさん出たことが問題というより、それなら競争させる意味がないだろう、と考える次第です。
【2】ランクマに参加しづらくなったのはいただけない
繰り返しになりますが、ランクマに参加するハードルが今回は上がっています。毎日配布されるチケットと、1日のフリー参加券3枚で合計4回は確実に参加できますが、それ以上は、おこづかいにせよメダルにせよナインスターにせよ、ぽんっと出すには躊躇うくらいの消耗を強いられました。これは、イベントを開催しているにもかかわらずイベント参加を促しづらいという意味で、あまりスジのよくない仕様だったと思っています。
もちろん、課金を促して利益を上げたいという思惑があったというのなら仕方がない部分もあるのですが、それなら、最もボーナスの高くつくイベント特攻キャラが排出されるガチャにはランクマ参加券がつかないのがいただけません。コストに対する見返りが少なすぎて、逆に課金を抑制する要素になっていたからです。どうせ1日15回までなら、最大7.5%のボーナスがつくキャラを排出するガチャにこそチケットをつけて、「1日20連までなら良いか」という気持ちにさせれば効果的だったと思います。その辺りも、利益を狙うにしてはちぐはぐな印象でした。
【3】何がやりたかったのかがわからない
正直、今回の「ウィング杯」に対して私が抱くモヤモヤ感はこれに尽きます。さまざまな仕様変更をして実施された今回のランクマッチ、何がしたかったの? と。
ユーザーの競争を盛り上げたかったなら上限頭打ちなのは意味がないし、ハードルを下げて多くのユーザーを参加させたかったなら参加ハードルを上げた意味がわからない。青天井を廃止してランクマに参加するユーザーの負担を軽減することには成功しているかもしれませんが、肝心なのは、ユーザーがランクマッチの何を楽しめばいいかということのはずです。
たとえば『グラブル』の団イベは、各ユーザーがそれまでに鍛えた武器やキャラを「お披露目」する場であると同時に、同じ団の所属者で協力しあう楽しみがあります。『モバマス』の場合はイベントがたくさんあるのでなんとも言えませんが、イベントでしか手に入らない大きな報酬を得られるという実利と、対戦相手との駆け引きみたいなものが面白さ・魅力なのかなと思います(もちろん競争が過度になって地獄のような争いになるのと引き換えですが)。
いっぽうハチナイのランクマは、鍛えたレギュラーキャラよりも特攻がついた一時的なキャラでないとランクマに出す意味がなく、駆け引き要素も少なく、仲間との協力も(ゲーム内では)存在しない。報酬も、それほど魅力的とは言えない。ことばは悪いけれど「とにかく対人やれば楽しいんじゃないか」みたいな空気が漂っているように、私には感じられます。先の蒼風さんのおことばをお借りすれば、「「これが面白いんだ」とか「こういうものがやりたい」みたいな意識」が見えてこない。あるのかもしれないけれど、ランクマを通して伝わってこない。そういう設計しか出来ていないのではないかと思います。
だから「ユーザーの意見」を聞いて、あっちにふらふら、こっちにふらふらする。ただ「これを流行らせるんだ」という意思だけが先行してる。「これが面白いんだ」とか「こういうものがやりたい」みたいな意識が運営に無い。そんな気がしてならん。 #ハチナイ #八月のシンデレラナイン
— 蒼風🍈【フィリア学院】@ハチナイ (@soufu89) 2018年3月22日
私が常々思っていたのは、「ハチナイに過度な競争は似合わない」ということでした。たとえばランクマの上位10人に限定SSRキャラを配布して課金競争をさせるとか、そういうことをして格差を広げるとユーザーはどんどん離れていくだろうし、そのユーザー絶対数の減少は致命的な問題になるだろう、と。だから、できれば格差を減らし、ユーザーの負担をかけないように工夫しつつ楽しめるコンテンツを増やすべきではないか、と。まあ言うなれば、競争原理バリバリの資本主義よりは緩やかな社会主義的な仕様のほうが良いんじゃないかということです。
ですから、ランクマは別に無くても良いのです。むしろ無いほうが平和かもしれんとさえ思います。ただ、運営さんたちがランクマで達成したいことがあるのなら、それに乗るのはやぶさかでない。よしや、それが「運営継続の資金集め」だとしても。そして、やるからにはある程度継続してほしいし楽しめるものであってほしい。
非課金型チケット配布や特攻キャラの調整、青天井廃止を提案していたのは、新規とベテラン、多忙な社会人と時間に余裕ある人、石油王と一般人などの格差を広げすぎないようにしたほうが良いんじゃないかという思惑からでした。何にしても「いまのハチナイに適したバランス」を考えてイベントを運営してほしい、というのが各種発言の意図です。ランクマ初期から現在まで、そのスタンスは変わっていません。…………いないつもりです。
今回のランクマで強く感じたのは、ランクマを通して達成したいことが何なのか良くわからないということと、ランクマを楽しめるものとして維持していくバランスがうまくないのではないかという2つのことです。それらは、運営さんにきちんとあるのかもしれませんが、少なくともここ数度のランクマを通して私にはわかりませんでした。
ひとことで言えば、「迷走」なんでしょうか。早いうちに立て直してほしいなと思います。
【4】ユーザー企画イベントは偉大
そんな中、今回もTwitterユーザーさんたちが自発的にランクマを利用してイベントを企画していました。ユーザー同士でチームを組んで戦うというスタイルは、それこそ『グラブル』の団や『モバマス』のプロダクションのような感じでユーザー同士の横のつながりを作り、イベントに彩りを添えています。
私は参加していませんが、こうした工夫によってランクマッチが(参加者にとって)面白いものとなっているのは事実でしょうし、「自分たちでランクマの意味を創り出す」運動なのだろうと。私のようにぶつぶつ文句だけ言っているより、よほど建設的で立派な活動ですよね。
……というわけで、長かった今回の記事は終わりです。結局、ランクマは何のためのイベントなのか、ということに時間がかかってもアンサーが欲しいというのがいまの心境です。それがハッキリしてくれば、無限デレストだろうが青天井だろうが付き合おうか考える余地はあるのですが、漠然と対人をやるというだけなら、時間と労力を吸い取られる行為には付き合えない。今回のような、回数制限がついたもののほうがマシだと思っています。
私が理解できていないだけでちゃんとランクマの目的や魅力は明確になっているのかもしれませんから、アカツキさんにはちゃんとお問い合わせなり意見メールなりを送りたいんですが、やっぱりきちんとまとまったものを書きたいので、思考の整理がてらの記事となりました。お付き合いいただいた方、ありがとうございました。