よい子わるい子ふつうの子2(仮)

18禁PCゲームをメインに、ラノベや漫画についてもダラダラ話を書きます。長文多いです。

書評:『〈卵王子〉カイルロッドの苦難』

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冴木忍『〈卵王子〉カイルロッドの苦難』シリーズ
(1992年~ 富士見ファンタジア文庫 全9巻 イラスト:田中久仁彦)

▼イントロ
私は最古参ではないにしろ、そこそこ古い時代からライトノベルを読んでいる世代だと思います。『ロードス島戦記』の流行がありましたし、中学・高校くらいの時に『スレイヤーズ』や『魔術師オーフェン』が爆発的に流行って、ラノベブーム(そういう名前はありませんでしたが)がおきました。

ファンタジーに憧れる青少年の大きな受け皿となっていたのが、富士見ファンタジア文庫。角川スニーカー文庫と勢力を二分する業界の雄。スニーカーにくらべて分厚い本が多く、コアユーザー向けのファンタジーをたくさん出していました。今ではファンタジー自体が敬遠され気味となり(実際、学園恋愛ものなどに比べて極端に売り上げが低いそうです。いまの「ラノベ」の傾向を見ると、確かにファンタジーは少ないし打ち切り率も高いですね)、レーベル自体がすっかり微妙なポジションというか、新人賞の賞金が高いだけみたいなイメージになってしまいましたが、当時は素晴らしい作品が次々と刊行され、私たちは楽しみに本屋に通ったものでした。

そんなファンタジーの全盛期、一部の熱狂的なファンがついた作家さんがいます。それが、今回紹介する『カイルロッド』シリーズの作者である冴木忍さん。「スレイヤーズ」や「オーフェン」をはじめ、当時人気のあった作家さんにはたとえば、あかほりさとるさんなどもいらっしゃいました。基本的に明るく楽しく主人公が活躍するタイプの作品が流行る中、冴木さんは「不幸な主人公」が毎度出てくるという、時代に逆行した作品を書いておられました。

それゆえ、時代の主流にはなりきれなかった感があるのですが、明るいファンタジーに満足しきれなかった層が強く惹かれることが多かったのでしょう。とにかく根強いファンを獲得して行きます。長期連載となった『風の歌、星の道』、後半竹井正樹氏によるイラストで注目を集めた『メルヴィ&カシム』など数多くの名作があるのですが、何と言っても有名なのは『カイルロッドの苦難』シリーズでしょう。田中久仁彦さんのすばらしいイラストも手伝って、当時の作品群では屈指の人気を誇った、本格ファンタジー。

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田中氏のイラスト。綺麗です。

オーフェンも、スレイヤーズも読んだ。でも、好きなのはカイルロッド――。そんな声も決して少なくはなく、私の周囲では爆発的な感染力を発揮して学年の垣根を越え、中学全体に及ぶ一大ブームを巻き起こしました。私自身も、読んで20年近くを経てなお、一番好きなファンタジー小説といえば、迷うことなくこの作品を挙げます。

それは思い出補正かもしれない。また、今主流の「ラノベ」を好む人からすれば、求めているものが違いすぎて物足りなく思うかもしれません。ただ、私は今のラノベも楽しくて、「はがない」や「俺妹」を読んでブヒブヒ言ってるシアワセな人間ですが、それでも『カイルロッド』は読み返すたびにいいなぁと思えます。今回は、そんな『カイルロッド』の紹介です。

▼あらすじ
カイルロッドは、城塞都市ルナンの王子。母親から卵で生まれたと言われる彼は、〈卵王子〉と呼ばれていた。母は出産時のショックで死亡。しかし、父王サイードと、周囲の人びとの愛情に包まれ、カイルロッドは心優しい青年に育っていった。そんな彼の悩みは、生まれ故に「嫁が来ない」こと。いい年になったのにいまだに結婚相手が決まらない。その日も、婚約者に逃げられたカイルロッドは酔いつぶれるまで酒を飲んでいた。ところが翌朝目覚めると、父も含めたルナンの人びとが石となっていたのだった。恐らくは、魔道士ムルトの仕業であると推測したカイルロッドは、たまたま石になっていなかった酒場の少女・ミランシャと共に、ルナンを救うため旅に出るのだった。

▼紹介
さて、ベタベタのギャグファンタジーのような始まりですが、段々とシリアスモードに入り、三巻で一度炸裂します。ギャグ話のつもりで読んでいた多くの読者は、度肝を抜かれるはめに。詳しくは触れませんが、本作の山場は三巻、六巻、九巻にそれぞれ訪れるので、読み始めたらとりあえず三巻まで、できれば六巻までは読んでみて欲しいところ。担当編集者の心をもボッキリ折ったという、美しくも悲しい物語が待っておりますぞ。

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最初の山場を向かえる三巻。カイルロッドの腕にだかれた幼女パメラは、私の最大のお気に入りキャラです。

本作には何人か、カイルロッドたちと対立する「敵」が出てきます。ただ、彼らは単純には「悪」ではない。この辺は、当時流行っていた「悪には悪の論理がある」、「正義の反対は別の正義」みたいな善悪相対化の影響を色濃く受けているようにも見えます。ただ、そんな時代背景的なものを解釈したって作品の魅力とは何の関係もないわけで、問題はその相対化が、作品の中でどういう役割を果たしているか、というところにあります。

では、その役割とは何か。あるいは、「敵」たちがそのように描かれていることの意味は、何か。それは恐らく、人間のどうしようもなさがそこに表れている、ということではないかと思います。この「どうしようもなさ」というのは、とても広い意味で。

この作品の基調となるモチーフは、人間の悲しみです。もう少し違う言い方をすれば、「人間とは悲しい存在である」ということを描こうとしている。人間には、理屈ではわかっていても抑えられない想いが溢れるときがあります。エロゲーだと主に「恋愛」が典型ですが、人が抱くのはそういう美しい感情ばかりではない。嫉妬や憎しみや絶望も、どうしようもない感情として人が引き受けなければならないものです。この作品は、そちら側をクローズアップしていく。

1992年という時代柄もあって、本作には割とポピュラーな小説の手法がとられています。いわゆる、主人公と読者を一体化させ、物語に感情移入させ、興奮と満足を与えるという手法。いまのライトノベルは、西尾維新さんなどを筆頭に、メタ的というか作品と読者との距離を敢えてつくってその距離感で演出する作品が増えたので、もしかすると今の読者層にはちょっとあわないかもしれませんね。

ともあれそんなわけですから、作中人物にとって許し難いことというのが、読者にとっても許し難いことと一致していくような作品なわけです。ということは裏返せば、読者が本気でショックをうけたり怒ったりするようなことが描かれなければ、作品としての説得力が欠ける。そして本作は、かなりの程度そのあたりをやってのけます。だから、「敵」に対してかなり激しい感情を抱くことになります。

そんな「敵」の中には、完全にダークサイドに堕ちて同情の余地など一切感じられない奴もいれば、人間らしい心を失っておらず共感せずにはいられないような人物もいます。けれど、彼らの行為が納得できるかできないかは、この際問題ではありません。肝心なのは、その辺に転がっている作品のように、中途半端な偽善が入り込む余地が本作には無いということ。

「敵」たちはとても些細なことをきっかけに、けれど決して他には選べなかったであろう選択肢をたどりながら、必然の結果として「敵」になってしまっています。人が生まれる時代や場所を選べないように、彼らはたまたまそう在るしかなかったのです。それが、ひどく醜くい在り方であったとしても。だからこそ、私たち読者は激しい感情のやり場を、ある意味で失ってしまう。怒りを向ける対象は、「敵」自体ではなく、「敵」をそのようにした運命に向けるしかないのですが、でもそれは余りにも不毛な怒りです。そしてその不毛さこそ、人間の抱える根源的な「悲しみ」であり、本作が描いているものだと思われるのです。

だからこそ、なのでしょう。この物語は最初から一貫して問い続けるのです。そうした「醜さ」から離れた王子――〈卵〉から生まれたといわれるカイルロッドは、果たして人間なのか、と。そして終盤の怒濤の展開の中で「悲しい」人間がどうやって生きていけば良いのか、あるいは本当に人間はただ「悲しい」だけの存在なのか、と改めて問い直していきます。

これは、冴木さんが意図したものかどうかは解りませんが、少なくとも私には、そんな風にしか読めませんでした。六巻で訪れる本作最大の山場の後、カイルロッドを奮い起こし、「敵」へと立ち向かわせたものが何だったか。それが、悲しいだけの人間に残された、最後の、けれど最も強い力です。悲しみと苦しみと絶望の果てに、それでも残った希望を手に立ち上がる。それが、今の私なりのこの作品に対する解釈です。

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今更ですが、タイトルも良いなと思います。物語を想像したくなるタイトルですね。

最後に時代考証的なことを少しだけ。Amazonのレビューに、「まだ豊かさが当たり前な時代、「悲劇を買ってでも読みたかった」頃のライトノベル」という評がありましたが、さすがにこれは(書かれた方がまさかうちのブログなぞ読まれないと信じてちょっと強気で言いますが)色々ハズしすぎているでしょう。

92年といえば、バブル崩壊が既に実感されはじめていた時期。データ的にバブルが崩壊したと言われる89年には、岩波新書からかの有名な『豊かさとは何か』という本が発売されていました。ですから事実としては、「悲劇を買ってでも読みたかった」のとむしろ逆で、豊かさが当たり前でなくなりつつあり、経済成長や贅沢といった単純な指標でものごとを量ることに懐疑的な時代が始まっていたのだと思います。先ほど述べた、「悪には悪なりの理屈」という話が勢いよく増えだしたのも、(いい加減な推測ですが)このくらいの頃からだったのかな、とか。

価値の揺らぎをうけて、一方では勇者や英雄のように、強い価値観をそのまますんなりと表現できる造形がもてはやされました。ただ『カイルロッド』はその路線にはのらず、価値の崩壊を受けいれたうえでどう進むか、ということに向き合う方向に向かった。それが時代のある雰囲気を共有していた層に、ぴったりと当てはまったのではないでしょうか。ここに描かれている人間の「悲劇」は、上から見て楽しめるものではなくて、その「どうしようもなさ」にどこかで共感できなければ受け容れられない類のものに思われるからです。

最後まで書き上げてはみたものの、ネタバレないままではなかなか踏み込んだ話ができませんでした(笑)。文章も乱れ気味で反省しきり。

しかし、この作品については、絶対ネタバレを見たら後悔します。読もうかと考えている方は、何が何でもネタバレだけは回避推奨。古典的名作のようになってしまいましたが、個人的には今でも通じると思っているので、未読の方は是非一度、試してみて欲しいなあと思います。それで実際どうだったかとか、聞かせて頂けると更にありがたい。もし微妙なようならさっさとやめないと、若い人に「カイルロッド良いよ」って勧めるウザい勘違いオッサンになってしまいますゆえ。

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レビュー:『淫薬依存学園』

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タイトル:『淫薬依存学園』(トルピード/2012年1月20日)
原画:あきのしん/シナリオ:水澄順
公式:http://www.torpedo-game.com/trp_004.html
批評空間レビュー投稿:済→ネタバレ無
定価:2500円
評価:D(A~E)

批評空間様への感想を投稿しております。詳しい内容に興味がある方は、上記リンクから拙文をお読みください。こちらでは主に、難解な攻略手順等の話をします。

さて、本作最大のネックは攻略でした。とにかくめんどくさい。純粋なボリュームだけで言ったら一時間ちょいで(運動しなければ)終わりそうなのですが、調教パートの投薬システムのお陰で、異様に手間取るはめになりました。これ、BADエンドばっかり見た人いっぱいいるんじゃないかなあ。

簡単に説明しておくと、調教シーンでは使う薬が3種類と、その「投与量」の選択があります。たとえば、「麻痺型ステロイドS」を「約50%」のように棒グラフをいじって決定します。更に、各調教ごとに「感度増強剤Z」を注入するかどうかの選択があります。この辺は体験版で実際にやれるので、気になる人はやってみてください。

調教は途中ゲームオーバーにならなければ4回あるので、薬の投与だけでも3の4乗で……81通りですか?パーセンテージや増強剤の使用も含めると、気が遠くなるような試行が求められるわけです。

が、実際にはもうすこし気が楽で、投薬量はだいたい「0~30%」、「30~60%」、「60%以上」の三つで判定がわかれています。それぞれ、Hシーンでのセリフがマイナーチェンジするので、スキップでもしていない限りすぐに分かるでしょうか。

淫薬グラフ
調整はこのグラフで。目分量です。

「感度増強剤Z」のほうは3回打つとBAD直行、打たなすぎてもBAD。用法・用量を守ってお使いください。回想シーンで増強剤を打ったときのHシーンは回収できるので、本編で無理に打たなくても大丈夫です。打つ場面は気楽に選んで問題なし。あとは、一種類の薬で徹底的に調教することでBADを回避できる、ということが分かっていれば、クリアできるはず。

作中のセリフがヒントになっていたりしたので、推理やパズル的な面白さが無かったとは言わないのですが、投薬量はボーダーラインで色分けするとか、せめてもう少し分かりやすく選べる工夫が欲しかったところです。レビューのほうにも書きましたが、まとめると大体以下の3点にご注意ください、ということで。
(1)感度増強剤Zは、三回使うとBAD直行。使わなくても調教不足でBAD逝き。
(2)使う薬の種類は統一しないとBAD。
(3)投薬量はだいたい、0~30%、30~60%、60~100%の三パターンで分岐。それぞれHシーンがマイナーチェンジ。投薬が少ないとBAD。

もっとぶっちゃけて書けば、MAX投薬x4、増強剤Zは2回使うで、各薬品ごとの完堕ちEDが見られます。(見えにくくしてあります。文字を反転させてご覧ください)

ともあれ、なんか結構盛り上がっちゃったので感想書きましたが、落ち着いて考えるとあんまり胸張って薦められるような内容じゃなかったかなー。まあ、たまにはこんなのもアリですよね、……ね?

ちなみに、手書きで下書きして推敲の後に投稿したので、今まで投稿したレビューの中でも比較的文章が整っているんじゃないかと思います。内容的に誰も気にしないと思いますが……。

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魔法使いの夜の軌跡

エロゲーではないのですが、TYPE MOONさんの『魔法使いの夜』のコマーシャルが活溌になってきました。しばらく前から、体験版も公開されていますね。公式サイトよりダウンロード可能。

発売予定日は昨年末に決定された通り、2012年4月12日のまま。2013年に変更されてるんじゃないかと思って何度も確かめましたので、間違いありません。秋葉原のソフマップ前でもムービーがガンガン流されており、早くも(というか、ようやくと言うべきでしょうか)今年の目玉の一つとして、期待度が上がっているように思われます。

ご存じないかたは余りおられないかもしれませんが、一応説明しておくと、『魔法使いの夜』はこれまで何度も発売延期を繰り返してきた作品。製作が発表されたのが、2008年の4月4日。当初の発売予定は「2009年初頭」だったのですが、それが延びてのびて、とうとう2012年の4月となったわけです。まる4年経ったことになりますね。こちらのページ(「春が大好きっ」様。リンクフリー)で、当時の流れが詳しく分かります。

幸い、昨年冬のアニメ「Fate/Zero」も大ヒットし、ブランドへの興味・感心もアップしているはず。一般向け作品であるということも追い風になるのではないでしょうか。

このまま順調に発売されてくれたら良いな、とは思うものの、体験版のボリュームはやや少なめで、ちょっと心配。それでも、具体的な内容が明らかになったぶん、これまでよりは希望をもっています。今年の4月ということは、エウシュリーの新作「創刻のアテリアル」と時期が重なるだけに、嬉しい悲鳴があがりそう。「まほ夜」のほうが2週間以上早いので、その間に終わらせて、返す刀でエウに行ければ理想的なのですが、果たしてどうなることやら……。

何はともあれ、クオリティはかなり高そう。楽しみに待たせて頂きましょう。

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エロゲーランキングの有用性

エロゲーのランキングって色々あるけど、どれ見たら一番参考になるかな? みたいな話を友人から受けました。それで思ったことをちょっとだけ書きつらねます。統計学などをやられていた方には当たり前の内容かもしれません。また、おおざっぱすぎて不正確な部分があれば、ご指摘頂けると幸いです。

個人のサイトさんは好みが別れるとして、大がかりなところでは先日、2ちゃんねるの葱板(エロゲネタ・業界板)の2011年度、ベストエロゲーが発表されました。その結果が、こちら

『WHITE ALBUM2』がいろんな意味で圧倒的な感じですね。確かに、素晴らしい内容の作品であったと思います。けれど、そこまで一般ウケする話だったかな? というのも確か。誰もが思うように、こうしたランキングには統計をとる時点である一定のバイアスがかかっています。つまり、完全に一般的なランキングを提出することなど不可能です。

では、こういったランキングには意味が無いのかというと、そういうわけでもありません。無闇にランキングを参考にするというのは実質余り意味が無い行為だとは思いますが、ランキングからどのような層がどういった作品を好むのか、という傾向を読みとることは可能です。言い換えるならば、ランキングを利用するということは、そのランキングが意味するものを読みとることなわけです。

たとえば、「萌えゲーアワード」のランキングについて考えてみましょう。

あの場合、まず「萌えゲーアワード」に参加している作品からしか選ばれませんから、対象がすでに絞られています。「全てのエロゲー」から選ばれるわけではないのですが、それでも分かることはあるでしょう。

萌えゲーアワードの場合、製品についているパスワードを入力してランキングに投票するシステムです。一人確実に一票であり、中古品などではパスワード自体が無い、あるいは既に入力済みだったりもします。つまり、投票者の多くは新品で製品を購入した顧客、ということが言える。これはメーカー/ブランドにとって非常にありがたいお客様です。

また、投票することによって特に大きなメリットがあるわけではありません(萌えゲーアワードから景品が出たりはしますが、それ目当てという人は少ないと思われる)。けれど、アワードで受賞したブランドにとっては賞金も出るし宣伝にもなるしで、割とオイシイ。ですからこの企画に投票する人は、純粋にそのブランドを応援したいという場合が多いのではないか、と考えられます。

つまり、萌えゲーアワードの結果から分かるのは、それが面白いか面白くないかよりもむしろ、その作品なりブランドなりが、どれだけブランドにとって貢献度の高い顧客を掴んでいるか、ということになりそうです。もちろん、投票したくなるような面白さも含まれているでしょうけれど、実はそれ以上のものも見えていたのだ、と。

続けて、件の「葱板ランキング」について検討してみましょう。私自身は投票に参加していないので、不正確な内容が含まれるかもしれませんが、検討のためのサンプルデータですのでご容赦ください。

まず、この統計に参加するためには、普段ある程度以上2ちゃんねるに書き込みをしている人でなければならない、というルールがあるそうです。代理投票もあるそうですが、そこまでして投票する人がどのくらいいるかという問題も発生します。またそもそも、普段2ちゃんねるを見ている人が投票するのは当然でしょう。雑誌アンケートの場合だとまず、「購買層」が問題となり、次にその中でも積極的にアンケートに参加する層、というのが問われます。今回も同様にして考えると、まず「普段から2ちゃんねるを利用している層」でかつ、「書き込みやアンケートに積極的に参加する層」が母集団ということになります。ただ、それがどういう意味のバイアスになるのか(たとえば、年齢が若いとか、暇が多いとか、男性ユーザーが多いとか……)までは、ちょっと分かりませんね。

次に、投票内容を見て貰えば分かりますが、コメント数やコメントの長さもランキング要素となっています。つまりどちらかといえば、作品に関してコメントを付けたがるようなタイプ、批評の対象になりやすいような作品が高得点を獲やすいランキングであると思われます。そもそもランキングに投票しようという時点で、ある程度そういう傾向は高いのかもしれませんが。

とまあ、こんな風に統計データから何が読めるか、ということを色々と考えてやることで、ランキングも意味が出てきます。

『WHITE ALBUM2』については、評価と売り上げがアンバランスで、そのことについて疑問に思う声もでているようです。その原因が何であるかまでは分かりませんが、一つ言えることは、ランキングや批評サイト、ブログなどで情報を発信したがるようなユーザーに好まれる作品であった、ということでしょう。つまり、何かを語りたくなる/語りやすい、そういう作品だ、と。

そんなものは所詮売り上げとは関係ない空しい力だ、と思うかも知れません。けれど、たとえば五年後、十年後のことを考えればどうでしょう。製品は五年、十年したらどんどん新しいものにとってかわられてしまいますが、言説は別です。私を含めたいわゆる「語りたがり」の人は、凄いインパクトを受け取った作品のことを、十年後でも嬉しそうに語ったりするもの。そうなると、『WHITE ALBUM2』は、いつまでも色々なところで話題にのぼり、「有名なエロゲー」になるかもしれないと思います。

結局のところ、ランキングのような統計を利用する場合、そのランキングが意味するものは何なのかを考えると効果的に利用できる。そしてその「意味するもの」は、結果からよりもむしろ、統計を取る母集団のほうから演繹的に考えてやるのが良い。そんなお話でした。個人のランキングでも一応、同じことが言えるはず。統計の利用方法については、もっと細かいことが色々言えるとは思うのですが、複雑になりすぎて私の手に余るので、この辺りで撤退しようと思います。

それでは。

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レビュー:『華麗に悩殺♪ くのいちがイク! ~桃色ハレンチ忍法帳~』

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タイトル:『華麗に悩殺♪ くのいちがイク! ~桃色ハレンチ忍法帳~』(softhouse-seal/2012年1月27日)
原画:のりたま/シナリオ:志田哉,
公式:http://softhouse-seal.com/product/054-kunoichi/index.html
批評空間レビュー投稿:済→ネタバレ有
定価:1995円
評価:E(A~E)

批評空間様への感想投稿は完了しておりますが、ちょっとはっちゃけてしまいました。ネタバレとしておりますが、バレるようなネタはほとんどございませんので、詳しい内容に興味がある方は、上記リンクから拙文をお読みください。

まあ、何というか凄い作品だったと思います。ツイッターでは「体験版が~」というツッコミを何度も頂きました。体験版をやっていなかったことは確かです。が、それとこれとは話が違う。体験版でHシーンがなくても、製品版ではあるだろうと思っていたのですが、まさかHシーンが無いとは。シーンなしで、ちょいHなCG閲覧だけって、ゲーセンの脱衣麻雀じゃないんですから……っ!!!

もしかしたら攻略スコアでテキストが変化するとか、そういうオプションが付いているんでしょうか? そんなことないですよね……? いやはや、マイッタマイッタ。これでゲームが面白かったらまだゆるせ……いや、これでゲームがどんなに面白くても許せませんね。ゲームがつまんなくても、Hシーンがあれば良かったんですが。

ちなみに感想本編でも書きましたが、テキストがちょっと雑というか悲しい感じ。たとえば冒頭の「今より昔の時代」というのが、「頭の頭痛が痛い」と言っているような感じで意味が重複しまくっている、というのが我ながら上手く言えたと思っているので、これで全部代弁させます。他にも色々ありましたが……。

伏線も完璧に投げっぱなしジャーマン。これ、広報の人本当に大変だっただろうなあと思います。むしろ社内で「こんなの絶対におかしいよ!」と声があがっておかしくないレベル。私がこれの紹介ページつくれって言われたら、間違いなく投げます。どこをウリにすれとおっしゃるか。

ちなみに、ゲームはもちろん、混じりっけなしのクソゲーです。大事なことなので何度でも言います。クソゲーです、くそg。要するに要素が少なすぎてやることが全部決まっているのと、敵が単調なルーチンでしか動かないので、本気でただの作業になるからです。

あ、一応ゲームパートにHシーンはあります。ドット絵っぽいのでこう、カクカクと。これは結構エロくて好みというか、この路線で押し切るなら押し切ってくれても良かったんですが、それならもっとバリエーションつけて欲しかったですね。あと、なんだかんだでこの場面のCGください……。

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ゲームパートの交尾はこんな感じ。

低価格作品まで体験版をやっていたら時間がないわけで、低価格の場合は内容はともかく、エロシーンだけは何とかなるだろうという確信に基づいて絵の好みとシチュの好みでほぼ見切り購入していたのですが、絵が好み+私の大好きなくのいちシチュというコンボで、まさかこんな悲劇に遭うとは……。しばらく立ち直れそうにありません。マジショック。

ただ、中味があんまりにもあんまりだったおかげで、二千円ぶんの楽しさは体験できたかもしれません。突き抜けた駄作になると逆に、一見の価値が出てしまうというのがエロゲーの妙な奥深さかもしれませんね。

いやまあ、二千円だから言える台詞ですけど。これフルプライスだったら発狂してます。

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《自己紹介》

エロゲーマーです。「ErogameScape -エロゲー批評空間-」様でレビューを投稿中。新着レビューのページは以下。
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